馬油とは、馬の脂肪から採取した油のことです。
かつては、馬肉を提供する飲食店で「やけどの特効薬」として販売されていました。馬の赤身肉を採取したあとに残った脂肪を集めて、飲食業者がポリ袋に入れて販売していたのです。
馬油は生きた馬からは採取できません。馬油の歴史は古く、約4000年前の中国騎馬民族の時代には、大衆薬として使われてと言われています。
5~6世紀の中国の書物には、馬油の効能についての記録があり、この頃にはすでに馬油が存在していたことがわかっています。日本に馬油が伝わったのは、諸説ありますが、およそ400年前と言われています。
時代劇などでときどき目にする「ガマの油」は、「馬の油」のことかもしれないと言われています。江戸時代は、牛や馬を食べることが禁止されていたため、馬の油だと公言することが難しかったと予想されます。
そのため、「我が馬の油」が「我馬の油」となり、その後「ガマの油」と伝わったとされています。
馬油の使い方
動物性の油として有名なものといえば、牛脂や豚脂でしょう。牛脂は、文字どおり牛の脂かえら精製した食用油脂のことです。
牛脂は、精肉店やスーパーなどで一般的に販売されているため、お馴染みかもしれません。牛脂は、食用だけでなく、せっけんやろうそくの製造原料、そして潤滑油や軟膏の原料としても使われています。
豚脂は、これも文字どおりで、豚の脂のことです。豚脂は、料理全般に用いられており、「ラード」として知られています。
牛脂や豚脂が食用に主に用いられているのに対し、馬油は薬用販売がメインになっています。なぜなら、馬油の成分は、人間の脂にとても近いからです。一般的に動物性油脂には飽和脂肪酸が、植物性油脂には不飽和脂肪酸が多く含まれています。
馬油は、馬という動物から採取された油にもかかわらず、不飽和脂肪酸が約6割含まれているとされています。動物性油と植物性油の良い点を併せ持っているわけです。
ですから、馬油の使い方に代表される、やけどした皮膚に塗れば、肌に早期に浸透し、皮膜を構成し、改善効果が見られるのです。どのようなメカニズムで改善するのかについては「馬油の効能」をご覧ください。
人肌に近い油であるため、馬油はさまざまな場面で効果を発揮します。かつてはやけど治療がメインでしたが、今はかぶれやシミ、アトピーなどにも効くとされ、注目を浴びています。
皮膚が弱い新生児や高齢者には特に喜ばれているようです。
このサイトでは、馬油の使い方もひとつずつ見ていきます。
馬油の効果
美肌効果
馬油自体は非常にべっとりしていますが、肌に塗るとすぐにサラサラになってしまいます。これは馬油の強力な浸透力だからこそで、、馬油が皮膚の隙間に浸透し、潤った状態と同じになります。
髪を健康にする効果
馬油の高い栄養成分が血液の流れを良くすることで、ツヤのある髪をもたらし、さらに、抜け毛予防の効果も期待できます。
火傷や傷を治癒する効果
馬油が広く用いられてきた理由は、上記でも説明しましたが、火傷に非常に良く効くからです。これは馬油の成分に炎症沈めて熱を取り去る作用があるからです。
かゆみを抑える効果
馬油は、肌にすぐに染み込み、血行を促進して新陳代謝を高めるため、かゆみを抑制します。また、油膜を張って外部を遮断し、浸透することで内部の空気を追い出し酸化を防ぐ効果もあります。
血流を改善する効果
馬油はとてもよく広がるため、非常に広い範囲に素早く膜を作って保湿し、さらに保温効果も優れているので、結果的に血液の循環を促進するマッサージ効果も期待できます。